Shopifyのメール配信アプリを比べ始めると、候補が多すぎて手が止まります。先に結論を書きます。最初に見るのは公式の Shopify Messaging です。月10,000通まで無料で使えるので、月の配信量がそこに収まるなら、追加のアプリは要りません。他の8本が候補に入るのは、通数が足りなくなったとき、あるいは公式では組めない自動配信をやりたくなったときです。
この記事は、1〜3人で運営していて月に数十〜数百件の注文があるストアを想定しています。その規模なら、メールリストはまだ数百件から数千件でしょう。ちょうど各アプリの無料枠に収まるか収まらないかの境目です。そこで効いてくるのが、無料枠が「連絡先の数」で切れるのか「送った通数」で切れるのかという単位の違いです。ここを見ずに選ぶと、リストを増やした翌月から課金が始まります。
比較表: 価格と無料枠(2026年8月時点)
Shopify App Storeの掲載ページで確認できた範囲を並べます。価格はすべて掲載どおりの米ドル建てで、円換算はしていません。掲載内容は変わることがあるので、導入前に各アプリのページで確かめてください。
| アプリ | 無料枠 | 有料プラン | 日本語 | 請求元 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
Shopify Messaging | メール月10,000通まで | 以降1,000通/月につき$1から。SMSは送信先ごとの従量 | 対応 | Shopify | 公式。旧Shopify Email |
Klaviyo | メール250連絡先まで | Email $20/月(251〜500連絡先)/SMS $15/月 | なし | 外部(Klaviyo) | セグメントとフローが細かい |
Omnisend | 250連絡先・月500通 | STANDARD $16/月(500連絡先〜)/PRO $59/月(2,500連絡先〜) | なし | 外部 | メールとSMSを同じフローに |
Mailchimp | 無料プランあり(通数の記載なし) | Essentials $13/月〜/Standard $20/月〜/Premium $350/月〜 | なし | 外部 | フォームとLPも同梱 |
MailerLite | 250連絡先・月2,500通・2ユーザー | Comfort $12/月(500連絡先・月5,000通)/Power $25/月(送信無制限) | なし | Shopify | 自動化フロー中心。14日間の無料体験 |
Seguno | 250購読者まで・送信数無制限 | Standard $35/月〜(2,500購読者)/Pro $215/月〜(25,000購読者) | なし | Shopify | テンプレ200種以上・Canva連携 |
Brevo PushOwl | Web Push 500/月+メール500通〜/月・購読者数無制限 | Plus $19/月(年払い$180)/Power $79/月(年払い$852) | なし | Shopify | Web Push通知を同居させる |
Privy | 無料プランなし | Pop Ups & Displays $24/月〜/Email $30/月〜(1,500連絡先)/Email and SMS $45/月〜 | なし | 外部 | ポップアップでのリスト獲得が主 |
StoreCRM | アクティブ顧客300人まで | for LINE $9/月〜/スタンダード $15/月〜(500人)/プロ $100/月〜(6,000人) | 対応 | Shopify | メールとLINEを同じシナリオで |
表を眺めると、9本が3つの塊に分かれるのが見えます。公式のShopify Messagingだけが通数で無料枠を持ち、Klaviyo・Omnisend・MailerLite・Seguno・StoreCRMは人数で持ち、Privyは無料プランを持ちません。Brevo PushOwlとMailchimpはその中間で、Brevo PushOwlは購読者数を無制限としたうえで通数を絞り、Mailchimpは掲載に上限の数字がありません。
選び方の軸
第一の軸は、公式で足りるかどうかです。 Shopify Messagingは月10,000通まで無料で、超えた分は1,000通/月につき$1からという課金です。リストが1,000件で月に4回送るなら4,000通、2,000件で月4回でも8,000通。この規模なら無料の範囲で収まります。名前が Shopify Email から Shopify Messaging に変わり、掲載もメール・SMSをまとめて扱う内容になっているので、古い記事の「Shopify Email」を探しても見つかりません。まずこのアプリを入れて、自分の配信量を実測してから次を考えるのが一番安く済みます。
第二の軸は、無料枠の単位です。 「250連絡先まで」型のアプリは、リストが251件になった瞬間に有料になります。送っていなくても、リストに載っているだけで数えられます。一方「月2,500通まで」型は、リストが何件でも送らなければ無料のままです。休眠顧客を大量に抱えているストアは人数型で不利になり、少人数に高頻度で送るストアは通数型で不利になります。自分の配信が「広く薄く」なのか「狭く濃く」なのかを先に決めてください。
第三の軸は、日本語がどこまで通るかです。 9本のうち掲載の対応言語に日本語があるのは Shopify Messaging と StoreCRM の2本だけで、残り7本の掲載には「このアプリは日本語に翻訳されていません」と書かれています。管理画面が英語でも、運営者が我慢すれば運用はできます。ただしメール配信の場合は、買い手に届く件名と本文を自分で日本語で書くことになるので、テンプレートの英文をすべて置き換える作業が導入時に一度発生します。テンプレート数の多いアプリほど、この初期作業は重くなります。
第四の軸は、請求元がShopifyか外部かです。 Klaviyo・Omnisend・Mailchimp・Privyの4本は、掲載に外部請求の記載があります。つまり月額がShopifyの請求書に載らず、各社から別途クレジットカードに請求されます。1〜3人で経理も自分たちでやっているストアだと、この4本を入れた分だけ支払い先が増え、解約時の手続きもShopifyのアンインストールとは別に必要になります。逆に MailerLite・Seguno・Brevo PushOwl・StoreCRM はShopify請求なので、他のアプリと同じ明細にまとまります。
SMS・LINE・Web Pushという第2チャネル
9本のうち多くは、メール以外の配信経路を抱き合わせています。Shopify MessagingとKlaviyoとOmnisendとPrivyはSMS、Brevo PushOwlはブラウザのWeb Push通知、StoreCRMはLINEです。ここは「多いほうがいい」と考えないほうがいい部分です。日本の一般消費者向けECでSMSを主力チャネルにしている店はまだ少なく、追加した分だけ運用する文面が増えます。
日本のストアにとって現実的な第2チャネルはLINEです。ただしLINE配信はメールとは設計思想も費用構造も違うので、両方を並行して回すかどうかは先に決めておいたほうがいい判断です。使い分けの考え方はメールとLINEの使い分けに、LINE側のアプリ選定はShopify LINE連携アプリ比較にまとめています。
各アプリの位置づけ
Shopify Messaging は Shopify 公式のアプリで、掲載名は2026年8月時点で Shopify Messaging です(shopify-email のURLはこちらに転送されます)。無料インストールで、メールは月10,000通まで無料、以降は1,000通/月につき$1から。SMSは送信先ごとの従量課金です。管理画面は日本語に対応し、請求もShopifyにまとまります。商品や割引コードをShopifyのデータから直接差し込めるので、テンプレート作成の手間も小さくなります。まずここから始めて、通数が足りなくなったら他を検討する、という順番で困りません。
Klaviyo は、セグメントと自動化フローの細かさで知られるアプリです。無料枠はメール250連絡先まで(SMSは150クレジットまで)で、有料はSMSが$15/月、メールが251〜500連絡先で$20/月から。連絡先が増えるほど月額も上がる方式です。掲載の対応言語は英語のみで、Shopifyの請求とは別にKlaviyoから外部請求されます。購買データを使った細かい出し分けを本格的にやりたい段階のストア向けで、リストが数百件のうちは機能を持て余します。
Omnisend は、メールとSMSを1本のフローに混ぜて組めるアプリです。無料のFREEプランは250連絡先・月500通で、STANDARDが$16/月(500連絡先から)、PROが$59/月(2,500連絡先から)。連絡先数が増えると同じプラン名でも月額が上がります。こちらも掲載の対応言語は英語のみで、外部請求です。無料枠が人数と通数の両方で切られている点には注意してください。250人までであっても、月500通を超えた時点で止まります。
Mailchimp は、メール配信の外にサインアップフォームとランディングページを持っているのが特徴です。掲載の無料プランには送信上限の数字がなく、Essentialsが$13/月から、Standardが$20/月から、Premiumが$350/月から。自動化のステップ数がプランで変わり、Essentialsは4ステップまで、Standardは200ステップまでと掲載されています。対応言語に日本語はなく、外部請求です。すでに他事業でMailchimpを使っていて、アカウントを1つにまとめたいストアには合理的な選択になります。
MailerLite は、掲載の記述が自動化フローに大きく寄っているアプリです。無料プランは250連絡先・月2,500通・2ユーザーまで。Comfortが$12/月で500連絡先・月5,000通、Powerが$25/月で500連絡先・送信数無制限です。14日間の無料体験があり、請求はShopifyにまとまります。対応言語は英語のみ。無料枠が人数と通数の両方を持つぶん、月2,500通という通数の余裕はこの価格帯では広いほうです。
Seguno は、無料枠が「250購読者まで、送信数は無制限」という切れ方をします。人数さえ超えなければ何通送っても無料なので、少人数のリストに高頻度で送る運用と相性がいいアプリです。Starterでもテンプレート200種以上とCanva連携、専用の割引コード発行が使えます。Standardは$35/月からで2,500購読者込み、Proは$215/月からで25,000購読者込み。10日間の無料体験つき、Shopify請求、対応言語は英語のみです。250人を超えたときの次のプランが$35/月と一段高いので、リストの伸び方を見てから入れてください。
Brevo PushOwl は、メールにブラウザのWeb Push通知を組み合わせたアプリです。無料のBasic BundleはWeb Push 500/月とメール500通〜/月で、購読者数は無制限。Plusが$19/月(年払い$180)、Powerが$79/月(年払い$852)です。Shopify請求で、対応言語は英語のみ。メールアドレスを取らなくても再訪を促せるWeb Pushは、リストがまだ小さい立ち上げ期に効く可能性があります。ただし通知の許諾は日本のユーザーには馴染みが薄く、購読率は実際に出してみないと読めません。
Privy は、9本の中で唯一、掲載に無料プランがありません。最も安いPop Ups & Displaysが$24/月からで月間PV1万まで(超過は従量)、メール配信自体はEmailプラン$30/月から(1,500連絡先まで)、SMSを足すとEmail and SMSが$45/月からです。外部請求で、対応言語に日本語はありません。ポップアップでメールアドレスを集める部分が本体のアプリなので、配信よりリスト獲得のほうに課題があるストアの検討対象になります。
StoreCRM は日本のGroovyMedia社が出しているアプリで、掲載の対応言語は日本語のみです。無料インストールでアクティブ顧客300人まで(マーケティング許諾済み、またはLINE ID連携済みの顧客を数えます)。有料はLINE特化のStoreCRM for LINEが$9/月から、スタンダードが$15/月から(500人まで)、プロが$100/月から(6,000人まで)で、いずれも上限を超えると従量、さらに超えると上位プランへ自動移行します。30日間の無料体験があり、請求はShopifyにまとまります。メールとLINEを同じシナリオの中で切り替えられ、再入荷通知やお気に入りの機能も内包しています。日本語のまま自動配信を組みたいなら、実質ここが唯一の選択肢です。
迷ったときの決め方
順番に当てはめてください。
- まだ何も入れていないなら、Shopify Messagingを入れて1か月配信します。月10,000通を超えなければ、この記事の残りは読まなくて構いません。
- 通数は足りているが、カゴ落ちや購入後フォローを自動で組みたい。かつ日本語の管理画面が要る。この条件ならStoreCRMです。LINEを併用する予定があるなら、なおさら候補になります。
- 英語の管理画面でよく、リストが250人以下で高頻度に送りたいならSeguno。送信数が無制限なので、人数さえ抑えれば費用が動きません。
- リストは小さいが通数を多く使う、かつShopifyの請求書にまとめたい。この条件ではMailerLite(月2,500通)が収まりやすい形です。
- リストが数千件を超えていて、購買履歴で細かく出し分ける段階に来ているならKlaviyoかOmnisend。ただし管理画面が英語で外部請求になることは、導入前にチーム内で合意しておいてください。
- メールアドレスがそもそも集まっていないなら、配信アプリより先にリスト獲得を直します。Privyはその方向のアプリですが、無料プランがないので、まずShopify Formsのような無料の入り口を試してから判断しても遅くありません。
配信を始めたあとに何を送るかは、アプリ選びとは別の問題です。カゴ落ちの文面はカゴ落ち対策チェックリスト、購入後のフォローとリピート導線はリピート率を上げる施策、レビュー依頼の文面はレビュー依頼メールの文例集にあります。全カテゴリの一覧はShopifyおすすめアプリにまとめています。
まとめ
- 公式のShopify Messagingが月10,000通まで無料。月数千通の規模なら、他のアプリを検討する前にここで足りるかを実測してください。
- 無料枠の単位は2種類あります。「250連絡先まで」型はリストが増えた時点で、「月2,500通まで」型は送った量で切れます。
- 掲載の対応言語に日本語があるのはShopify MessagingとStoreCRMの2本だけで、残り7本には「このアプリは日本語に翻訳されていません」と書かれています。
- Klaviyo・Omnisend・Mailchimp・Privyは外部請求です。Shopifyの請求書に載らないので、支払い先と解約手続きが1つ増えます。
- Privyには無料プランがありません。最も安いプランでも$24/月からで、メール配信自体は$30/月からです。
- SMSやWeb Pushの同梱は、日本の小規模ストアではすぐには使いどころがありません。第2チャネルを持つならLINEのほうが現実的です。
参照元
価格・無料枠・対応言語は、次のShopify App Store掲載ページを2026年8月25日に確認したものです。
Shopify Messaging・Klaviyo: Email Marketing & SMS・Omnisend Email Marketing & SMS・Mailchimp Email SMS Marketing・MailerLite Email Automation・Seguno Email Marketing・Brevo PushOwl: Email, Push, SMS・Privy ‑ Email, SMS & Pop Ups・StoreCRM | LINE連携 | メール+LINE配信