「リピート率を上げたい」という話は、たいてい数字の定義を決めないまま始まります。すると打ち手の効果も測れず、施策が続きません。
先に結論を書きます。順番は次のとおりです。
- 定義を固定する — 期間と分母を決める。ここを決めないと比較できない
- 2回目までの期間を見る — 施策を打つタイミングが決まる
- 打ち手は3つから — 同梱物、配信、再訪の受け皿。この順で安い
1. 定義を固定する
リピート率は計算の仕方が複数あり、どれも間違いではありません。だから店で1つに決めます。よく使うのは次の2つです。
- 期間内リピート率 = その期間に2回以上購入した顧客 ÷ その期間に購入した顧客。月次で追いやすい
- コホート別リピート率 = ある月に初回購入した顧客のうち、その後◯日以内に再購入した割合。施策の効果を見るのに向く
施策の評価をしたいなら、後者が正確です。前者は「今月の状態」を見る指標で、季節要因で動きます。
Shopifyのアナリティクスには、初回購入と再購入の売上を分けて見るレポートがあります。まずはここで自店の比率を確認してください。ゼロから集計する必要はありません(利用できるレポートはプランによって異なるので、見当たらない場合は注文データの書き出しから集計します)。
数字を出すときの注意は、ゲスト購入の扱いです。同じ人が別のメールアドレスで買っていれば別人として数えられます。厳密に追いたいならメールアドレスの正規化が必要ですが、傾向を見る目的なら気にしすぎなくて構いません。
2. 2回目までの期間を見る
リピート施策のタイミングは、この数字で決まります。
- 初回購入から2回目までの日数の中央値を出す
- その中央値の少し手前が、配信やクーポンを当てるタイミング
たとえば中央値が60日なら、40〜50日目に何かを送るのが効率的です。全員に同じ日数で当てるのが乱暴に感じるかもしれませんが、何もしないよりは効きます。
消費サイクルのある商材(消耗品、食品)はこの設計が特に効きます。アパレルのようにサイクルが不定な商材では、期間よりも次のリリースに合わせるほうが自然です。
3-1. 打ち手: 同梱物(いちばん安い)
すでに送っている箱に紙を1枚入れるだけなので、追加コストがほぼありません。
- 次回使えるクーポン — 期限を切る。設計はShopifyの割引・クーポンの作り方へ
- お手入れ・使い方の案内 — 返品と問い合わせを同時に減らします
- レビュー依頼 — 依頼の文面はレビューを集める依頼メール文例集にまとめました
紙を作る余裕がないなら、納品書に1行足すだけでも構いません(Shopifyで納品書を作成・同梱する方法)。
3-2. 打ち手: 配信
購入者は、最も質の高い配信リストです。チェックアウトでマーケティングの同意を取っている前提で、次の2本を作ります。
- 購入後フォロー(数日後)— お手入れ、コーディネート、関連商品
- 2回目の後押し(上の中央値の手前)— 新作の案内かクーポン
LINEとメールで役割を分ける考え方はメルマガとLINEの使い分けに整理しました。同じ内容を両方に流すと、片方が解約理由になります。
3-3. 打ち手: 再訪の受け皿
配信でストアに戻ってきた人が、何もせずに帰る状態を減らします。
- お気に入り — 「まだ買わない」人の受け皿。保存があると再訪の動機が残ります(Shopifyのお気に入りボタンはどこに置く?効く設置場所3か所)
- 再入荷 — 売り切れで買えなかった人は、次に買う確率が高い層です。お気に入りの保存件数を再入荷の判断に使う方法はShopifyの再入荷通知と再入荷判断。お気に入りを受け皿にする方法へ
- 新作の置き場所 — 「新作」コレクションが常に最新であること。ここが古いと再訪の価値が下がります
順番を守る理由
リピート施策は、ポイント制度や会員ランクのような仕組みから作りたくなります。ただし仕組みは運用コストが高く、効果が出るまで時間がかかります。
同梱物・配信・受け皿の3つは、今週から始められて、効果も1〜2か月で見えます。ここを回してから、必要ならポイント制度を検討する順番が安全です。
測るときの注意
施策の効果を測るときは、同じ定義で前後を比較します。
- 施策を入れた月と入れていない月のコホートを比べる
- 期間内リピート率は季節で動くので、単月の増減で判断しない
- クーポンを使った施策は、割引原価を引いた粗利で評価する
割引で買った2回目は、売上は立っても利益が薄いことがあります。リピート率だけを見ていると、利益を削りながら数字を上げてしまいます。
まとめ
- まず定義を固定する。施策の評価にはコホート別が向く
- Shopifyのアナリティクスに初回購入と再購入を分けたレポートがある。そこから始める
- 2回目までの日数の中央値の手前が、施策を当てるタイミング
- 打ち手は同梱物 → 配信 → 再訪の受け皿の順。安くて早い順に並んでいる
- ポイント制度のような仕組みは後。効果測定は粗利で行う