「納品書はどこから印刷するのか」と管理画面を探すと、そういう名前のメニューは見つかりません。Shopifyでは**「明細表」(英語では packing slip)**という名前で、納品書に相当する同梱書類の印刷機能が標準で入っています。
先に結論を書きます。何をいくつ送ったかを知らせる書類でよければ、標準の明細表で足ります。追加のアプリも費用も要りません。レイアウトを大きく変えたい、金額を載せたい、という場合だけカスタマイズが必要になり、その手段はShopify公式の無料アプリ「Shopify Order Printer」でのLiquid編集か、他社の帳票アプリの二択です。
標準の「明細表」がそのまま納品書になる
明細表に載るのは、商品名・数量・SKU・重量といった商品情報と、配送先・請求先の住所です。倉庫での梱包時に中身を照合し、お客様が届いた荷物の内容を確認するための書類、という位置づけです。
日本の通販で納品書に期待される中身は「誰宛てに、何を、いくつ送ったか」なので、この明細表がそのまま使えます。書類の名前が「納品書」でないことだけが引っかかりますが、テンプレートは後述のとおり編集できるので、文言の差し替えで対応できます。
ひとつ、仕様として知っておくべき点があります。明細表には金額が載りません。テンプレートで使えるLiquid変数の公式リファレンスを見ると、商品名・数量・SKU・住所などの変数は用意されている一方で、商品価格や合計金額の変数がありません。つまり標準の明細表は最初から「金額の載らない納品書」であり、逆に金額入りに変えることはできません。
これは欠点とも言い切れません。ギフトの荷物に金額入りの書類を入れてしまう事故が、仕様上起こらないからです。金額入りの納品書(納品書兼請求書)が必要な場合は、次の節のOrder Printerを使います。
標準機能で印刷する手順
印刷は注文画面から行います。追加の設定は要りません。
- 注文を開く — Shopify管理画面の「注文管理」から、対象の注文をクリックします
- 「印刷」から「明細表を印刷」を選ぶ — ブラウザの印刷画面が開くので、そのまま印刷するか、PDFとして保存します
- まとめて刷るなら注文一覧で複数選択する — 注文一覧でチェックボックスを付けて選び、「…」メニューから明細表を印刷します。複数ロケーションで運用している場合は、どのロケーションの分を刷るかを指定します
一括印刷はスマホのShopifyアプリからもできるので、出荷当日の朝にその日の分をまとめて刷る、という運用が組めます。
テンプレートを編集したい場合は、「設定」→「配送と配達」のドキュメント欄にある「明細表のテンプレート」を開きます。中身はLiquidで書かれたHTMLで、ロゴの追加、店舗住所の変更、商品画像の削除、CSSでの体裁調整までここでできます。見出しの文言を「納品書」に差し替える程度なら、該当箇所のテキストを書き換えるだけです。崩してしまってもデフォルトに戻せるので、編集前の状態を控えたうえで試してください。
金額を載せたいならShopify Order Printer
金額入りの帳票が必要な場合は、Shopify公式の無料アプリ Shopify Order Printer を使います。請求書・領収書・明細表・ピッキングリストのテンプレートを持ち、HTML・CSS・Liquidで編集できます。明細表と違って商品価格を扱えるので、金額入りの納品書はこちらで作ることになります。注文一覧からの一括印刷は一度に50件までで、印刷はブラウザ経由なのでPDF保存もできます。
正直に書くと、Liquidでのテンプレート編集は、コードに馴染みのない人にはかなり重い作業です。変数名を1つ打ち間違えるだけで項目が消え、タグの閉じ忘れでレイアウトが崩れます。アプリの画面が英語のみである点も、最初のハードルを上げています。
それでもやるなら、現実的なのは「既存テンプレートの小さな改変」までです。文言の差し替え、ロゴの追加、不要な行の削除。この範囲ならデフォルトのテンプレートを少しずつ書き換えて到達できます。日本の帳票らしいレイアウトをゼロから組むのは外注案件だと考えたほうがよく、そこまでの体裁が本当に必要かを先に疑うべきです。B2Cの同梱書類であれば、たいてい必要ありません。
そもそも納品書を同梱するか
印刷の前に、同梱すること自体を一度疑う価値があります。注文内容は注文確認メールにも載っており、紙の納品書がなくても、お客様が注文内容を確認する手段は既にあるからです。同梱する・しないは、次の3つで判断できます。
まず問い合わせへの効果です。荷物に注文番号と内容の一覧が入っていれば、「頼んだものと違う」「1点足りない」という連絡が注文番号付きで来ます。同梱物への記載がないと、この特定を毎回メールの往復でやることになります。ただしこの効果は、明細がなくても外箱の送り状や注文確認メールである程度代替できます。
次にギフトです。贈り先に直送する注文が多い店では、金額の載った書類の同梱は事故になります。前述のとおり標準の明細表は金額が載らないので、そのまま同梱しても安全です。注意すべきはOrder Printerで金額入りのテンプレートを常用している場合で、ギフト注文だけ金額なしに切り替える運用を挟む必要が出てきます。切り替え忘れが怖いなら、全注文を金額なしで統一するほうが運用は単純です。
最後にコストです。仮にコピー用紙を1枚1円、印刷と封入の手間を1件30秒とすると、月300件の店で紙代は月300円、作業時間は月2.5時間になります。金額としては小さくても、出荷のピーク時間帯に毎日発生する工程が1つ増えることの意味は、件数が伸びるほど重くなります。同梱をやめる・メール明細に寄せるという選択は、この工数と上の2つの効果を天秤にかけて決めるものです。
領収書とは役割が違う
納品書と領収書は混同されがちですが、別の書類です。納品書は、荷物に同梱する場合に「何を送ったか」を知らせる書類で、同梱するかどうかは前の節の判断で決めます。領収書は代金を受け取った事実を示す証憑で、決済が完了した注文について、求められたときに発行します。明細表のテンプレートをいくら整えても、領収書の代わりにはなりません。
領収書については、発行手段の選択肢と運用をShopifyで領収書を発行する方法に分けて整理しています。Order Printerは領収書のテンプレートも持っているので、納品書と領収書の両方をカスタマイズするなら、同じアプリの中で完結します。