「在庫管理アプリ」で検索して出てくる7本は、同じ言葉で括られているだけで、やっている仕事が違います。先に結論を書きます。この7本は「需要予測と発注」「他モール・倉庫との在庫同期」「バーコードでの倉庫作業」の3グループに分かれます。グループが違うアプリを月額で比べても意味がありません。どのグループが要るかを決めてから、その中で価格を見るのが正しい順序です。
この記事は、1〜3人で運営していて、注文が月に数十〜数百件のストアを想定しています。その規模だと、そもそもアプリが不要なことも珍しくありません。まずShopifyの標準機能で足りる範囲を切り分けてから、7本を掲載ページの記載ベースで比べます。全カテゴリの一覧はShopifyおすすめアプリまとめにあります。
まずShopify標準の在庫機能で足りるか
Shopifyの管理画面は、素の状態でも在庫まわりの基本を持っています。倉庫や店舗ごとにロケーションを分けて在庫数を持たせること、在庫数がいつ・どう動いたかの履歴を見ること、ロケーション間で在庫を移動させること、CSVでの一括インポートによる在庫数の更新。この4つは追加のアプリなしでできます。
つまり、「在庫数を正しく持って、増減を追える」ところまでは標準機能の範囲です。1〜2拠点で、発注は勘と経験で回せていて、モール出店もしていないなら、アプリを入れる理由はまだありません。
アプリが必要になるのは、次の4つのどれかに当たったときです。第一に、需要予測と発注点。「あと何日で切れるか」「いくつ発注すべきか」を数字で出したい場合、標準機能はそこまでやりません。第二に、仕入先への発注書。POを作って送り、入荷を突き合わせる流れは標準にありません。第三に、他モールや外部倉庫との在庫同期。楽天やAmazonの在庫を巻き込んだ引き当ては、Shopify単体では回りません。第四に、バーコードでの入出荷・棚卸し。スキャナやスマホで検品する作業を標準機能で代替するのは無理があります。
なお、欠品そのものの見せ方や再入荷の告知は在庫管理アプリの仕事ではありません。そちらは在庫切れの商品を非公開にするか、残すかとShopify再入荷通知アプリ比較で扱っています。売れた数以外に「欲しかった人の数」から発注を判断する方法は再入荷の判断材料をお気に入りから取るにまとめました。受注処理側の一元管理はShopify注文管理・受注処理アプリ比較と重なる部分があります。
比較表: 価格と無料枠(2026年8月時点)
Shopify App Storeの掲載ページで確認できた範囲を並べます。掲載は変わることがあるので、導入前に各ページで確かめてください。
| アプリ | 無料枠 | 有料プラン | 日本語 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
Stocky | 新規インストール終了(2026年8月31日に提供終了予定) | 単独課金なし(POS Pro自体の月額は掲載なし) | 非対応 | Shopify POS前提の発注書・棚卸し・在庫転送 |
Prediko Inventory Management | なし(インストール無料、14日間の無料体験) | Starter $49/月、Scale-up $119/月、Growth $199/月、Enterprise要問い合わせ | 対応(開発元の日本語サポートはなし) | AI需要予測・発注書・複数ロケーション |
Inventory Management ‑ Assisty | Free to install(過去6ヶ月の販売履歴・基本レポート・基本の在庫追跡) | Basic Shopify $19/月、Advanced Shopify $59/月、Shopify Plus $199/月 | 非対応 | レポートと発注点算出、Stockyからの移行機能 |
syncX: Stock Sync & Inventory | Free Plan(商品2,000点・フィード1件・手動更新のみ) | Starter $7/月、Expert $10/月 | 対応(開発元の日本語サポートはなし) | 外部ソースやストア間の在庫同期に特化 |
Inventory Planner by Sage | インストール無料(プラン額の掲載なし) | 要問い合わせ(Shopify請求書とは別に外部請求の場合あり) | 非対応 | 需要予測とマルチチャネルの在庫計画 |
ロジクラ(Logikura) | アプリ自体は無料インストール | 掲載なし(ロジクラから外部請求の場合あり) | 対応 | iPhoneでのバーコード検品・出荷作業 |
ネクストエンジン自動連携 | アプリ自体は無料 | 掲載なし(NE株式会社から外部請求の場合あり) | 対応 | 他モールを含む受注・在庫の一元管理 |
一覧にすると、比較の土台が揃っていないことがはっきりします。ドル建ての月額が掲載されているのはPrediko・Assisty・Stock Syncの3本だけです。
選び方の軸
第一の軸は、3グループのどれが要るかです。需要予測と発注はStocky・Prediko・Assisty・Inventory Planner、在庫同期はStock Syncとネクストエンジン自動連携、倉庫作業はロジクラ。予測系のアプリを入れても他モールの在庫は揃いませんし、同期系を入れても発注数は出てきません。両方必要なら2本併用が前提になります。
第二の軸は、価格が掲載されているかどうかです。Inventory Plannerは要問い合わせ、ロジクラとネクストエンジンはアプリ自体は無料でも本体サービスの料金が外部請求で、金額は掲載ページに書かれていません。この3本は月額を並べて比べられないので、候補に入れた時点で見積もりを取る前提になります。残る4本のうち、Stockyの費用はShopify POS Proのサブスクリプションに含まれる形で、POS Pro自体の月額はこの掲載ページには出ていません。
第三の軸は、無料でどこまで試せるかです。恒久的な無料プランを持つのはStock Sync(商品2,000点・フィード1件・手動更新のみ)とAssisty(過去6ヶ月の販売履歴と基本レポート)の2本。Stockyは新規インストールができなくなっているため、これから試す選択肢には入りません。Predikoに無料プランはなく、14日間の無料体験で判断することになります。
第四の軸は、日本語がどこまで通るかです。日本語UIを持つのはPrediko・Stock Sync・ロジクラ・ネクストエンジン自動連携の4本で、うち国内開発はロジクラとネクストエンジンの2本です。Stocky・Inventory Planner・Assistyは掲載ページに「日本語に翻訳されていません」と明記されています。在庫管理アプリは買い手の目に触れる画面がほとんどないので、英語UIでも運営者が我慢すれば回ります。ただし発注書は仕入先に送る書類なので、そこだけは日本語で出せるか確認してください。
各アプリの位置づけ: 需要予測と発注の4本
StockyはShopify自身が提供するアプリで、掲載タイトルも「Inventory Management for Shopify POS Pro」です。Shopify POSとの連携が前提で、在庫追跡・在庫補充・在庫転送、仕入先への発注書の作成、バーコードスキャンによる実地棚卸しと入荷受領、在庫僅少アラートとカスタムレポートが掲載されています。POS Proのサブスクリプションに含まれる形で提供され、実店舗を持ってPOS Proを契約済みの店なら追加費用なしで使えていました。対応言語は英語のみです。ただしShopifyのヘルプセンターは「Stocky アプリは、2026年8月31日をもってご利用いただけなくなります」「Shopify App Store から Stocky をインストールすることはできなくなりました」と告知しています。これから新規に導入することはできず、すでに入れている店も提供終了までの利用にとどまります。移行先としてShopifyは標準の在庫管理機能を案内していますが、発注書や需要予測まで引き継ぎたい場合は、Stockyからの仕入先・発注書の移行機能を持つPredikoかAssistyが受け皿になります。
Prediko Inventory Managementは、AIによる需要予測から発注までを1本にまとめたアプリです。季節性を加味した予測、スマートアラートによる自動リオーダー、発注書の一括作成とWMS連携、複数ロケーション間の在庫移動とmin/max設定、部品表(Bill of Materials)による原材料の追跡、バーコードラベル対応の棚卸しが掲載されています。Amazon・Faire・Etsyや100以上のWMS・3PLとの連携もあり、Stockyから仕入先と発注書を自動で移行する機能を持ちます。料金は年商の規模でプランが分かれ、Starter $49/月(年商10万ドルまで)、Scale-up $119/月(同50万ドルまで)、Growth $199/月(同200万ドルまで)。対応言語に日本語が含まれる予測系はこの1本だけです。
Inventory Management ‑ Assistyは、レポートと発注点の算出に軸足があるアプリです。需要分析、リオーダーポイントの算出と自動補充、発注書の作成・承認・追跡、全ロケーション横断の在庫カウントと調整、Stockyからの仕入先・発注書の移行機能が掲載されています。無料のFree to installでは過去6ヶ月の販売履歴と基本レポートまで、Basic Shopify $19/月で全履歴と1時間ごとの更新、Advanced Shopify $59/月で需要分析と複数ロケーション追跡、Shopify Plus $199/月でAI/MLによる需要予測と購買発注が入ります。無料の範囲でレポートを見てから決められるので、予測系を初めて入れる店に向いています。対応言語は英語のみです。
Inventory Planner by Sageは、需要予測と自動補充、発注書の自動化、SKUレベルの収益性分析、キャッシュフロー計画、在庫回転率のトラッキングを掲載しているアプリです。Amazon・Cin7・Linnworks・QuickBooks・ShipBobなどと連携し、マルチロケーションの在庫計画に対応します。価格は「Pricing adapts to your business needs. Contact us to get a quote.」と書かれており、固定額の掲載がありません。Shopify請求書とは別に外部請求がある場合がある旨も明記されています。会計側まで含めて在庫を計画したい規模の店が対象です。
各アプリの位置づけ: 在庫同期2本と倉庫作業1本
syncX: Stock Sync & Inventoryは、このカテゴリの中で唯一「予測しない」アプリです。Google Sheets、FTP/SFTP、Google Drive、Dropbox、REST APIなど任意のソースと在庫を同期し、複数ストア間のリアルタイム同期で在庫超過の販売を防ぎます。一括商品編集、在庫僅少アラート、欠品商品をコレクションの下に下げる自動並び替えも掲載されています。BigCommerce・WooCommerce・Wixとの連携もあり、Shopify以外のプラットフォームを併用している店では効きます。無料のFree Planは商品2,000点・フィード1件・手動更新のみ、Starter $7/月で1日1回の自動更新、Expert $10/月で商品5万点まで・1日12回更新。掲載ページに発注点や需要予測の機能は見当たらないので、発注判断は別の手段で持つ必要があります。商品データ側の一括編集はShopify一括編集アプリ比較も参考になります。
ネクストエンジン自動連携は、受注一元管理サービスのネクストエンジンとShopifyをつなぐアプリです。Shopifyの注文をネクストエンジン側に自動で受注伝票として取り込み、ネクストエンジンで管理している在庫数をShopifyへ自動反映し、送り状番号と配送業者をShopifyの受注に書き戻します。セット商品(バンドル)の在庫連携とFacebook・Instagramからの受注取込みにも対応。アプリ自体は無料と明記される一方、ネクストエンジン本体の利用料はNE株式会社からの外部請求で、金額は掲載されていません。他モールにも出店していて在庫を1か所で持ちたい店が対象です。
**ロジクラ(Logikura)**は「iPhoneが使える倉庫管理システム」を掲げる国内開発のアプリです。バーコードスキャンによるピッキングと検品で出荷作業を効率化し、送り状・納品書などの帳票を出力し、追跡番号を含むフルフィルメント情報をAPIでShopifyにリアルタイム反映します。自社倉庫と委託先倉庫のどちらにも対応する構成です。掲載ページに需要予測や発注点の機能は見当たらないため、予測系とは競合しません。アプリは無料インストールで、料金はロジクラからの外部請求。出荷の誤配送が起き始めた規模の店に効くタイプです。
迷ったときの決め方
- 実店舗があってShopify POS Proを契約済み → Stockyは新規インストールが終了し、2026年8月31日で提供も終わります。すでに使っているなら、残したい発注書や棚卸しの履歴は提供終了前にレポートから書き出しておき、移行先はShopify標準の在庫管理機能か、Stockyからの移行機能を掲載しているPrediko・Assistyから選んでください(仕入先データはStockyから書き出せないため、移行先で登録し直すかアプリ側の移行機能に頼ることになります)。
- オンライン中心で、発注数を数字で出したい → 無料枠でレポートを見られるAssisty(英語)か、日本語UIのPrediko。無料で試したいならAssisty、日本語と発注書・原材料管理まで欲しいならPredikoです。
- 楽天・Amazonにも出店していて在庫を1か所で持ちたい → ネクストエンジン自動連携。本体の料金は見積もりを取ってください。
- モールではなくスプレッドシートや別ストアと在庫を合わせたい → Stock Sync。無料枠で同期が回るか試してから有料に上げられます。
- 出荷の検品・ピッキングでミスが出ている → ロジクラ。予測系とは役割が別なので、必要なら2本併用になります。
- 会計・キャッシュフローまで含めて在庫を計画したい → Inventory Planner。まず見積もりからです。
まとめ
- Shopifyの標準機能でロケーション別の在庫・在庫履歴・在庫転送・CSVインポートまではできます。アプリが要るのは予測と発注、外部との同期、バーコード作業の3方向だけです。
- 7本は「予測・発注」「在庫同期」「倉庫作業」の3グループに分かれ、グループをまたぐ代替はできません。両方必要なら併用が前提です。
- ドル建ての月額が掲載されているのはPrediko・Assisty・Stock Syncの3本で、Inventory Planner・ロジクラ・ネクストエンジンは見積もり前提です。
- 恒久的な無料プランはStock SyncとAssistyの2本。Stockyは新規インストールが終了し2026年8月31日で提供終了のため、これから選ぶ対象にはなりません。
- 日本語UIはPrediko・Stock Sync・ロジクラ・ネクストエンジン自動連携の4本。Stocky・Inventory Planner・Assistyは英語のみです。
参照元
価格・無料枠・対応言語は、次のShopify App Store掲載ページを2026年8月25日に確認したものです。Stockyの提供終了については、ShopifyヘルプセンターのStockyと、同ページから案内される移行ガイドを2026年8月27日に確認しました。
Stocky・Prediko Inventory Management・Inventory Management ‑ Assisty・syncX: Stock Sync & Inventory・Inventory Planner by Sage・ロジクラ(Logikura)・ネクストエンジン自動連携