「特定の条件の注文にタグを付けたい」「在庫が減ったら通知してほしい」。この手の作業を自動化しようとアプリを探すと、月額5ドル台のタグ付け専用アプリから月額100ドルを超える連携プラットフォームまでが同じ棚に並びます。先に結論を書きます。Shopifyの管理画面の中で完結する定型作業なら、まず公式のShopify Flowで足ります。無料で、注文が増えても追加費用はありません。有料アプリを検討するのは、Flowで届かない場所が具体的に分かってからで遅くありません。
この記事は、1〜3人で運営していて月に数十〜数百件の注文があるストアを想定しています。その規模で最初に効くのは、複雑なワークフローを組むことではなく、毎日手で繰り返している1〜2個の作業を機械に渡すことです。以下では8本を、Shopify内のタグ付け・通知、Shopify内の高度な自動化、外部サービスとの連携という3つの層に分けて整理します。
比較表: 価格と無料枠(2026年8月時点)
Shopify App Storeの掲載ページで確認できた範囲を並べます。価格は掲載ページ表記のままで、円換算はしていません。掲載は変わることがあるので、導入前に各アプリのページで確かめてください。
| アプリ | 無料枠 | 有料プラン | 日本語 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
Shopify Flow | 無料(有料プランなし) | — | 掲載は英語のみ | Shopify公式。トリガー→条件→アクションで組む |
Customer Tagger | Free(無料の注文タグ100件分・既成ワークフロー) | スターター $5.99/月、成長 $19.99/月、プロフェッショナル $49.99/月 | 対応言語に日本語を含む | 顧客タグ付けとセグメント化 |
Order Tagger | Starter 無料インストール(追加注文1件$0.02・上限$100) | Standard $4.99/月+追加注文1件$0.01、Premium $9.99/月+同$0.01 | 掲載は英語のみ | 注文タグ付けに特化した単機能 |
Mr. Arigato: Task Automator | なし(14日間の無料体験) | Basic $15/月、Grow $25/月、上位 $40/月・$100/月 | 掲載は英語のみ | 注文の編集・後処理まわりが厚い |
MESA | なし(7日間の無料体験) | Basic $12/月、Flex $29/月、上位 $99/月・$299/月 | 掲載は英語のみ | 通知の種別が細かい。作りたい内容を書いて組む訴求 |
Mechanic | なし(15日間の無料体験) | $16/月、$29/月、$99/月、$199/月(Pay what feels good 方式) | 掲載は英語のみ | Shopify専業。自由度が高い |
Zapier | Freeの記載あり(後述の注記あり) | Professional $29.99/月、Team $103.50/月 | 掲載は英語のみ | 外部SaaSとの連携が主目的 |
Make | Free(ドラッグ&ドロップで設計) | Core $10.59/月、Pro $18.82/月、Teams $34.12/月 | 掲載は英語のみ | 外部連携をビジュアルに組む |
無料枠について3点だけ補足します。Zapierの掲載ページにはFreeプランがありますが、Shopifyとの連携には有料のZapierプランが必要という趣旨の注記が併記されているため、実際には有料前提と読むのが安全です。Order Taggerの無料インストールは追加注文1件あたり$0.02の従量課金つきで、上限が$100と書かれています。Mechanic・Mr. Arigato・MESAの3本には無料プランがなく、あるのは体験期間だけです。
選び方の軸
1つ目は、公式のShopify Flowで足りるかどうかです。Flowは無料で、トリガー(注文が作成された、在庫が減った、など)と条件とアクションを画面上でつなぐ形で自動化を組みます。注文へのタグ付け、在庫が一定数を下回ったときの通知といった、この記事で扱う需要の中心にあたる部分をここで賄えます。ここで足りるなら、月額のかかるアプリを重ねる理由はありません。アプリを増やす前の棚卸しについてはアプリの棚卸しと表示速度にまとめています。
2つ目は用途の層です。Shopify内のタグ付けと通知が目的なら、FlowとCustomer Tagger・Order Taggerの領域です。同じShopify内でも、外部APIを叩く、複数の処理を条件分岐でつなぐ、時刻を指定して定期実行するといった段階になると、Mechanic・Mr. Arigato・MESAの領域に移ります。Google スプレッドシートやSlack、メール配信ツールなどShopifyの外にデータを流したいなら、ZapierとMakeが担当です。層が違うアプリを価格だけで比べても答えは出ません。
3つ目は課金単位です。この8本は、無料(Flow)、月額固定(Customer Tagger・Mechanic・MESA)、月額+注文数の従量(Order Tagger)、外部サービス側のプランに乗る形(Zapier)、月額プラン+credits(操作数)使用量に応じた追加(Make)と、料金の増え方がばらばらです。注文が伸びたときに月額が跳ねるのは従量型で、注文数に対して費用が読めるのは固定型です。自分のストアの1年後の注文件数を当てはめて、増え方まで見てから決めてください。
4つ目は日本語です。8本のうち管理画面が日本語になるのはCustomer Taggerだけで、Shopify Flowを含む残り7本は掲載ページに日本語未対応と書かれています。ただし自動化アプリは買い手の目に触れない管理側のツールなので、レビューアプリやポップアップのように「英語のままだと客に違和感を与える」問題は起きにくい部類です。困るのは自分が設定画面を読むときだけ、という前提で判断できます。
各アプリの位置づけ
Shopify Flow は公式の無料アプリで、この分野の出発点です。掲載ページによれば、注文にタグを付ける、在庫が減ったら通知するといった処理を、トリガーと条件とアクションの組み合わせでノーコードに設定します。費用がかからないので、ほかのアプリを検討する前にまず入れて、やりたい処理が組めるか試すのが最短です。管理画面は英語のみですが、画面の構造が単純なぶん、用語さえ分かれば操作に詰まる場面は多くありません。
Customer Tagger(Shop Circle)は、8本の中で唯一、掲載ページの対応言語に日本語が含まれるアプリです。無料プランでは注文タグ100件分と既成のワークフローが使え、有料はスターター$5.99/月から3段階。掲載ページの機能一覧には顧客タグ付けと顧客セグメント、一括編集まわりが並んでいます。日本語の管理画面で顧客の属性分けを自動化したい店に向きます。過去データへ一括でタグを付け直す作業そのものについては商品CSV一括編集アプリの比較も参考になります。
Order Tagger(Altgo Tech K.K.)は注文タグに絞った単機能アプリです。無料インストールで始められ、追加注文1件あたり$0.02、上限$100という従量課金がつきます。有料はStandard $4.99/月+1件$0.01から。開発元は日本法人ですが、掲載ページ上のアプリは日本語未対応です。注文タグだけが目的で、しかもFlowの条件では表現しきれないルールがある場合の選択肢になります。
Mr. Arigato: Task Automator(Bonify)は、無料プランがなく14日間の体験のみ、Basic $15/月からのアプリです。掲載ページの機能タグを見ると、注文の編集・一括処理まわり(アーカイブ、ステータス更新、明細行、価格、再注文、キャンセルなど)を独自に多く持っているのが特徴です。注文が入ったあとの後処理を機械化したい、つまり注文管理アプリの比較で扱う領域と自動化が地続きになっている店に合います。BasicとGrowには対象ストアプランの条件があると掲載にあるので、契約前に自店のプランで使えるか確認してください。
MESA(ShopPad Inc.)も無料プランはなく、7日間の体験とBasic $12/月から。掲載ページで目立つのは通知の細かさで、放置カート、注文キャンセル、返金、返品・交換、配送状況の更新、在庫アラート、スタッフ通知といった種別が個別に挙げられ、送り先もメール・SMS・複数チャネルへの配信として整理されています。作りたい内容を言葉で書けば組み立ててくれるという訴求も掲載の中心です。発送の遅れや在庫切れをきっかけにした問い合わせを減らす方向の話は問い合わせを減らす設計に書いています。
Mechanic(Lightward)はShopify専業の自動化プラットフォームで、無料プランなし・15日間の体験、$16/月からの4段階です。特徴は「Pay what feels good」方式で、掲載の金額は目安として示され、支払う額を自分で選べると書かれています。掲載ページの機能タグはこの8本の中で最も広く、タグ付けから在庫、返品処理、時間ベースの実行、API連携、複数店舗対応までひととおり並びます。自由度を求める代わりに、設定に手を動かせる人が要るタイプです。
Zapier(Zapier Inc)はShopify専用ではなく、外部SaaSどうしをつなぐ汎用ツールです。掲載ページの連携例にはGoogle スプレッドシート、Gmail、Slack、MailChimp、Google 広告などが並びます。Freeプランの記載はありますが、前述のとおりShopify連携には有料のZapierプランが必要という注記があり、有料はProfessional $29.99/月から。注文データを社内のスプレッドシートやチャットに流したい、という要件が先にある場合の候補です。
Make(旧Integromat)も外部連携の汎用プラットフォームで、こちらはFreeプランから始められます。有料はCore $10.59/月、Pro $18.82/月、Teams $34.12/月ですが、これは月額固定ではなく、各プランに含まれるcredits(操作の実行回数に応じて消費)の枠がベースで、枠を超えると追加のcredits購入か上位プランへの変更が必要になります(Make公式の料金ページによる)。掲載ページの連携例にはAirtable、Google、Instagram、MailerLiteなどが挙がっています。処理の流れを線でつなぐビジュアルな編集画面が売りで、外部連携を無料で試してから判断したい場合はZapierより入りやすい構成です。
迷ったときの決め方
条件で絞ると、候補は1〜2本になります。
- Shopifyの中だけで完結する処理(注文へのタグ付け、在庫が減ったときの通知など)が目的なら、まずShopify Flowを入れて組めるか試す。組めたら追加のアプリは要りません。
- Flowで組めず、しかも管理画面が日本語であることを優先するなら、Customer Taggerの無料プランで試す。
- 注文タグだけが目的で、注文件数が少ないなら、Order Taggerの無料インストール(従量)で始める。件数が増えると従量分が効いてくるので、月額プランとの分岐点を先に計算しておく。
- 注文が入ったあとの編集や一括処理まで自動化したいなら、Mr. Arigatoの体験期間で自店の処理が組めるか確かめる。
- 通知の種類を細かく作り分けたい、あるいは条件分岐の多いワークフローを回したいなら、MESAかMechanic。設定に時間をかけられるならMechanic、通知の作り分けが主目的ならMESAが素直です。
- Shopifyの外にデータを出すのが本題なら、まずMakeの無料プランで試し、それでつながらない相手先があるときにZapierの有料プランを検討する。
まとめ
- Shopifyの中で完結する自動化は、まず無料の公式アプリShopify Flowで足りるか試すのが先です。
- 用途は3層に分かれます。Shopify内のタグ付け・通知(Flow、Customer Tagger、Order Tagger)、Shopify内の高度な自動化(Mechanic、Mr. Arigato、MESA)、外部サービス連携(Zapier、Make)。
- 無料で始められるのはFlow(完全無料)、Customer Tagger(注文タグ100件分)、Make(Freeプラン)、Order Tagger(無料インストール+従量)です。
- Zapierの無料プランは、掲載ページにShopify連携には有料プランが必要という注記があり、実質は有料前提です。
- Mechanic・Mr. Arigato・MESAには無料プランがなく、体験期間だけで判断することになります。
- 管理画面が日本語になるのはCustomer Taggerのみで、Shopify Flowを含む残り7本は掲載上は英語のみです。
- 全カテゴリの一覧はShopifyおすすめアプリまとめにあります。
参照元
価格・無料枠・対応言語は、次のShopify App Store掲載ページを2026年8月25日に確認したものです。
Shopify Flow・Customer Tagger・Order Tagger・Mr. Arigato: Task Automator・MESA・Mechanic・Zapier・Make