問い合わせが多いと、FAQページを作ろうという話になります。ところがFAQを作っても件数が減らないことがよくあります。理由は単純で、お客様はFAQを探していないからです。
先に結論を書きます。件数を減らす順番は次のとおりです。
- 1か月分の問い合わせを分類して数える — 何に答えていないかを知る
- 多い上位3つを、それが必要になる場所に書く — FAQページではなく、商品ページ・カート・注文確認メール
- それでも残る分をFAQに集約する — FAQは3番目の手段
順番を逆にすると、労力の割に減りません。
1. まず1か月、分類して数える
分類は細かくしなくて構いません。ECで来る問い合わせは、だいたい次の枠に収まります。
- 配送(いつ届く・日時指定・送料)
- 在庫(再入荷・サイズ欠け)
- サイズ・仕様(サイズ選び・素材・使い方)
- 注文変更(住所・数量・キャンセル・支払い方法)
- 返品・交換
- 決済(使える方法・エラー)
- 領収書・請求書
1か月分をこの枠に振り分けるだけで、どの情報が足りていないかが数字で出ます。感覚で「配送が多い気がする」と言っている状態と、「配送が全体の4割」と数字で分かっている状態では、打ち手の精度が変わります。
集計の副産物として、CSの返信テンプレートが必要な順番も決まります(ECのCS返信テンプレート12パターン)。
2. 答えは「必要になる場所」に置く
ここが本題です。同じ内容でも、置き場所を変えるだけで問い合わせは減ります。
配送の情報は、商品ページとカートに。 「いつ届くか」を知りたくなるのは買う直前です。FAQページまで探しに行く人は少数派で、大半は聞くか諦めます。書き方は発送までの日数の書き方に、送料の見せ方はShopifyの送料設定の設計にまとめました。
サイズの情報は、商品ページの中に。 別ページのサイズガイドへのリンクだけでは読まれません。実寸表は商品ページ内に置きます(アパレルのサイズ表の作り方)。
注文後の情報は、注文確認メールに。 発送予定、追跡番号の通知タイミング、住所変更の連絡先。注文後の問い合わせはここで止まります。
返品の条件は、ポリシーページと商品ページ(例外がある商品)に。 条件を明記していないと、可否の確認だけで1往復発生します(返品・交換ポリシーの作り方)。
3. FAQは「置き場所」ではなく「検索の受け皿」
上の2つをやったうえで、残る質問をFAQに集めます。FAQが効くのは次の2つの経路です。
- 検索から直接来る — 「◯◯(ブランド名) 返品」で検索した人の着地点になります
- 問い合わせフォームの手前に置く — フォームに行く途中で答えが見つかると、そこで止まります
2番目が実務的にいちばん効きます。問い合わせフォームのページに、よくある質問の上位5つとその答えを直接(リンクではなく本文で)置いてください。リンクは踏まれません。
FAQの書き方の要点は3つです。
- 質問はお客様の言葉で書く — 「配送日数について」ではなく「注文してから何日で届きますか」
- 答えは1問1答で完結させる — 「詳しくはこちら」で別ページに飛ばさない
- 数字を書く — 「通常はお早めに発送します」ではなく「1〜2営業日以内に発送します」
減らしてはいけない問い合わせもある
件数を目的にすると、問い合わせの入口を狭める方向に行きがちです。フォームだけにして電話を消す、返信を定型文だけにする、といった手当ては件数を減らしますが、売上と評価を落とします。
区別の基準は「その問い合わせが購入前か購入後か」です。
- 購入前の問い合わせ — 減らすべきではありません。サイズや在庫の相談は、答えれば売れる見込み客です
- 購入後の問い合わせ — 情報不足が原因なら減らせます。ここが本来の削減対象です
購入前の相談が多いなら、それは商品情報が足りないサインでもあります。1件ずつ答えつつ、答えた内容を商品ページに書き足していくのが正しい消化の仕方です。
効果を確認する
打ち手を入れたら、翌月の分類集計で確認します。上位だった分類が下がっていれば効いています。下がっていなければ、置き場所が悪いか、書いた内容が答えになっていません。
このループを3か月回すと、問い合わせの構成が変わります。定型的な質問が減り、購入前の相談と個別の事情が残ります。この状態が、CSがいちばん売上に効いている形です。
まとめ
- FAQを作る前に、1か月分を分類して数える。何に答えていないかを数字で出す
- 答えは必要になる場所に置く。配送は商品ページとカート、注文後は確認メール
- FAQは3番目の手段。問い合わせフォームの手前に本文で置くのがいちばん効く
- 購入前の問い合わせは減らさない。答えれば売れる見込み客で、商品情報を足すサイン
- 翌月の集計で効果を確認する。3か月回すと問い合わせの構成が変わる