再配達は、ストア側から見ると「自分では手を出せないコスト」に見えます。配達に行ったが不在だった、という話なので、注文を受けた側にできることは無いように思えます。
ところが、受け取り方の選択はほとんどの場合注文の時点で決まります。置き配を知らない人は置き配を選びません。宅配ボックスがあることを配達員に伝える手段を知らない人は使いません。つまりストア側の案内で動く余地があります。
先に結論を書きます。ストア側からできるのは次の3つです。
- 受け取り方の選択肢を、注文前と注文後の両方で案内する
- 住所に建物名・部屋番号を入れてもらう(宅配ボックスを使うための前提条件)
- 配送会社の会員サービスを案内する(受取場所と日時の変更はそこでできる)
数字の前提: 再配達率7.6%、多様な受取方法31.0%
国土交通省のサンプル調査では、2026年4月時点で宅配便の再配達率は約7.6%、宅配ボックス・置き配・コンビニ受取などの多様な受取方法の利用率は**約31.0%**です(宅配便の再配達率サンプル調査)。
再配達率は下がってきていますが、それでも配達のおよそ13件に1件が再配達になっています。そして受取方法の利用率が3割ということは、7割はまだ対面での受け取りが前提です。ここに案内の余地があります。
再配達が起きると、ストア側にも間接的なコストが乗ります。到着が遅れる、問い合わせが来る、代引きなら決済そのものが完了しない。1件あたりの内訳を金額にする方法は誤配送・持ち戻り1件のコストを試算するにまとめました。
1. 注文前と注文後、両方で案内する
置き配の案内は、注文後のメールだけでは遅いことがあります。配達日を待たずに出発してしまう荷物もあるからです。
注文前(配送・送料のご案内ページ)。 「置き配をご希望の場合は、注文時の備考欄にご記入ください」または「配送会社の会員サービスからご指定いただけます」と書いておきます。自店が置き配指定に対応しているのか、配送会社側でやってもらうのかを明記するのが要点です。
注文後(注文確認メール・発送通知メール)。 発送通知に追跡番号を載せ、そこから受取方法を変更できることを1行添えます。多くのお客様は追跡番号を「今どこにあるか」を見るためにしか使っていないので、変更できると知らせるだけで行動が変わります。
案内の文言はシンプルに保ちます。
ご不在が多い場合は、追跡番号から受け取り方法(置き配・日時変更・
コンビニ受取など)をご指定いただけます。
ご利用可能な方法は配送会社・地域によって異なります。
「地域と配送会社によって異なる」を入れておくのは、対応していない場合の逃げ道ではなく事実だからです。守れない断定を書かないのが原則です。
2. 宅配ボックスを使うには住所が完全であること
宅配ボックスがあるのに使われない典型的な原因が、住所に建物名・部屋番号が入っていないことです。配達員が部屋を特定できなければ、ボックスに入れても誰の荷物か分からなくなります。
住所欄の設計と、注文確定前に不備を捕まえる方法はECの住所入力ミスを減らすに整理しました。要点は「住所の2行目を任意で表示しておく」ことと、「番地・建物名の抜けを確定前に検出する」ことです。
置き配を推奨するなら、住所が完全であることが前提条件になります。順番を逆にしないでください。
3. 配送会社の会員サービスに案内を逃がす
ストア側で受取方法をコントロールしようとすると、配送会社ごとの差異を全部背負うことになります。現実的なのは、お客様自身が配送会社側で設定できることを案内する方法です。
- 会員サービスに登録すると、受取場所(宅配ボックス、玄関前、コンビニ、営業所)や日時をお客様側で指定できる配送会社があります
- 使えるサービスは配送会社と地域で異なるので、自店が使っている配送会社のものだけを案内します
- 発送通知メールに追跡URLを載せておくと、そこから到達できます
自店の出荷が1社に固定されているなら、その会社のサービス名を出して案内するほうが行動につながります。複数社を使い分けているなら、追跡番号からの案内に寄せます。
代引きは置き配できない
見落としがちな点です。代金引換は対面で現金またはカードを受け渡す決済方法なので、置き配とは併用できません。代引きの注文で「置き配希望」と書かれていたら、その時点で連絡が必要です。
代引きの比率が高いストアでは、受け取り前提の案内(不在時の再配達依頼、保管期間)のほうが効きます。保管期間を過ぎた場合の流れは代引きの受取拒否・持ち戻りが起きたときの対応にまとめました。
まとめ
- 受け取り方の選択は注文の時点で決まる。ストア側の案内で動かせる
- 案内は注文前(配送案内ページ)と注文後(発送通知)の両方に置く
- 宅配ボックスの前提は住所が完全であること。建物名・部屋番号の抜けを先に潰す
- 受取方法の変更は配送会社の会員サービスに逃がす。使えるサービスは会社と地域で異なる
- 代引きは置き配と併用できない。代引き中心のストアは再配達依頼の案内に寄せる