GA4とShopifyのアナリティクスを並べると、数字が合いません。セッション数も、注文数も、売上も違う。どちらかが壊れているように見えますが、たいていどちらも正常です。
先に結論を書きます。指標ごとに正を決めてください。
- 注文数・売上 → Shopifyを正とする。決済の記録そのものなので取りこぼしがない(どのステータスを含めるかは先に決める)
- 粗利 → Shopifyでも見られるが、原価(cost per item)を登録した商品だけが計算対象。登録が揃っていなければ会計側を正とする
- 流入元・ページ別の動き・行動の流れ → GA4を正とする。Shopifyには無い粒度がある
- セッション数・CVR → 定義が違うので、どちらか一方だけを継続して見る
両方を足したり、比率を計算したりしないことが最大のポイントです。
なぜずれるのか: 計測地点が違う
決定的な違いはここです。
- Shopify — 注文はサーバー側の記録です。決済が成立すれば必ず1件計上されます
- GA4 — ブラウザで動くタグからの送信です。タグが動かなければ計上されません
つまりGA4側は、次のケースで欠けます。
- 広告ブロッカー・トラッキング防止 — 送信自体が飛びません
- 同意管理(同意していない訪問者) — 設定によって計測されません
- JavaScriptのエラー・通信の失敗 — タグの送信が落ちます
- 決済完了ページに到達しなかった注文 — 決済後に離脱した場合など
そのため、GA4の注文数はShopifyより少なくなるのが正常です。逆に多い場合は二重計上を疑ってください(タグを2重に入れている、GTMとテーマ両方で送っている、など)。
セッションの定義が違う
セッション数のずれは、定義の違いによるものが大きいです。
- GA4 — 30分の無操作でセッションが切れます。参照元が変わったタイミングでも切れ方が変わります
- Shopify — 独自の集計です。GA4と一致させることを目的にしていません
したがって、GA4のセッションを分母、Shopifyの注文数を分子にしてCVRを出すと実態より高いCVRが出ます。分母と分子は同じソースから取ってください。
Shopifyのアナリティクスが得意なこと
- 売上・注文の実額 — 決済の記録なので信頼できます。ただし売上レポートには未払い・キャンセル分が含まれる集計もあるので、どのステータスを対象にした数字かを決めて使います
- 初回購入と再購入の分解 — リピートの状況を見るレポートがあります(利用できるレポートはプランによって異なります。リピート率の見方と、改善に着手する順番)
- 商品別の売れ方 — 商品・バリアント単位の販売数
- チェックアウト離脱 — 離脱したチェックアウトの一覧が残ります(Shopifyのカゴ落ち対策チェックリスト)
経理や仕入れの判断に使う数字は、すべてこちら側です。
GA4が得意なこと
- 流入元の分解 — 検索、SNS、広告、メール。UTMを付けておけば細かく分けられます(Instagramからストアへの導線設計)
- ページ別の動き — どの記事・どのコレクションが見られているか
- デバイス別・地域別
- 商品ページの閲覧から購入までの経路
施策の判断に使うのはこちら側です。
商品を突き合わせるときの注意
GA4の商品データとShopifyの商品を突き合わせる作業では、商品名で束ねてはいけません。商品名は改名されるので、改名前後が別の商品として並びます。
突き合わせに使うのはitem_idです。ここにどんな文字列が入るかはGA4側の仕様ではなく連携の実装で決まるので(Shopify連携経由だと shopify_ で始まる複合IDが入ることが多い)、自店のGA4のDebugViewかBigQueryで実際の値を1件確認して、Shopify側の商品ID・バリアントIDと対応づけてください。名前で集計すると、「死んでいるように見える商品」や「急に売れ始めたように見える商品」を作り出してしまいます。
検索からの流入はSearch Consoleで見る
GA4の「Organic Search」は流入の量を教えてくれますが、どんな検索語で表示されたかは分かりません。そこはSearch Consoleの担当です。役割分担はSearch Consoleの見方にまとめました。
GA4とSearch Consoleを連携させた場合、両者の対象ページが完全に一致しないことがあります(プロパティの設定次第です)。連携した数字を掛け合わせて合成指標を作らないでください。
実務での使い分け(まとめ表)
| 見たいもの | 使うツール |
|---|---|
| 売上・注文数 | Shopify(対象ステータスを決めて) |
| 粗利 | Shopify(原価が登録済みの範囲)/会計側 |
| 商品別の販売数 | Shopify |
| リピート率 | Shopify |
| チェックアウト離脱 | Shopify |
| 流入元(SNS・広告・メール) | GA4 |
| ページ別の閲覧 | GA4 |
| 検索クエリ・掲載順位 | Search Console |
数字が急に変わったときの確認順
数字が飛んだときに、施策の効果と計測の事故を切り分ける順番です。
- Shopifyの注文数は変わっているか — 変わっていなければ計測側の事故です
- GA4のタグは動いているか — テーマの更新、アプリの追加削除でタグが外れることがあります
- 同じ期間の他の指標も動いているか — 1指標だけ動いているなら定義や集計の問題を疑います
「数字が出ていない」を報告する前に、計測が成立していた証拠を1つ確認してください。計測器が壊れているのに実態の変化として読むと、打ち手を丸ごと間違えます。
まとめ
- ずれるのは正常。計測地点が違う(Shopifyはサーバー側、GA4はブラウザ側)
- 売上・注文・リピートはShopifyを正(対象ステータスを決める。粗利は原価の登録状況を確認する)。流入元とページの動きはGA4を正
- セッションの定義が違うので、分母と分子を別ソースから取らない
- 商品の突き合わせはitem_idで行う。商品名で束ねると別商品が混ざる
- 数字が飛んだら、まずShopifyの注文数を見て計測事故と実態変化を切り分ける