「SEO対策をやらなければ」と思いながら、何から手を付けるべきか分からず止まっているストアは多いはずです。先に結論を書きます。1〜3人で運営する小規模ストアが最初にやるべきことは、次の3つです。
- 主要ページのタイトルとdescriptionを自分の言葉で書く — まず売れ筋商品と主要コレクションから。目安は2時間
- コレクション構造を整理して、パンくずリストで内部リンクを通す — 目安は半日
- Google Search Consoleにサイトマップを登録する — 目安は30分。効果を測れる状態を先に作る
どれも無料ででき、外部の業者は要りません。逆に、この3つより先にやるべき裏技もありません。この記事では、そもそも触らなくていい範囲を先に確認してから、この3つを含む「自分でやること」を順に整理します。
Shopifyが自動でやってくれること
SEOの技術要件のうち、次のものはShopifyが自動で処理しています。設定画面を探す必要も、アプリを入れる必要もありません。
- サイトマップ —
ストアURL/sitemap.xmlに自動生成されます。商品・コレクション・固定ページ・ブログ記事と商品のメイン画像が含まれ、商品やページを追加すれば自動で更新されます - canonicalタグ — 重複コンテンツが検索結果に出ないよう、各ページに自動で付与されます
- robots.txt — 自動生成されます
- SSL — 証明書は最初から有効です
- titleタグの実装 — テーマがストア名入りのtitleタグを自動で組み立てます。中身の文言を書くのは後述のとおり自分の仕事ですが、タグの実装作業は要りません
WordPressでプラグインを入れて整えるような技術的な下ごしらえは、Shopifyでは概ね済んでいる、という理解で大丈夫です。「アプリを入れないとサイトマップが作られない」といった営業文句を見かけても、乗る必要はありません。
一方で、固定されていて変えられないものもあります。商品URLの /products/ やコレクションURLの /collections/ はShopifyの固定パスで、この構造は変更できません。URLを自由に設計したい人には不満の残る仕様ですが、この接頭辞の有無が検索順位を左右する場面はまず無いので、割り切って構いません。
自分でやること
自動化されていないのは、「このページが何のページか」を言葉と構造で説明する部分です。ここは店の中身を知っている運営者にしかできません。
タイトルとdescription。 商品・コレクション・固定ページ・ブログ記事は、それぞれの編集画面の下部にある「検索エンジンリスティング」からページタイトルとdescriptionを編集できます。タイトルは70文字まで入力できますが、検索結果で途中で切られないためには60文字程度が目安です。descriptionは160文字が目安で、この文章がそのまま検索結果の説明文の候補になります。トップページだけは場所が違い、「オンラインストア」→「各種設定」で編集します。
全ページを一度に書こうとすると挫折します。売れ筋商品と主要コレクションだけ先に書き、残りは商品登録のついでに書き足す運用にした方が続きます。書く内容は「検索した人が求めている言葉」で、商品名の羅列やキーワードの詰め込みではありません。
コレクション構造。 検索エンジンはリンクをたどってページを見つけ、リンクのされ方から各ページの位置づけを推定します。「トップ→コレクション→商品」という経路が素直に通っているかが土台になります。セール用・特集用のコレクションを乱造していると、同じ商品への経路が何本もできて構造が濁ります。お客様に見せる分類として意味のある単位に整理し、メニューに載せるのは主要な階層だけに絞ります。
パンくずリスト。 整理した階層を、ページの表示と検索エンジン向けデータの両方で明示するのがパンくずリストです。日本で使われているテーマには入っていないものも多く、その場合は自分で足すことになります。設置の手順はShopifyにパンくずリストを設置する方法に、検索結果に階層を表示させるために必要な構造化データとの関係はShopifyのパンくずリストと構造化データの関係に、それぞれ切り出してあります。テーマのコード編集を避けたい場合は、当社の BREADCRUMBS のように表示と構造化データをセットで自動生成するアプリを使う方法もあります。
Search Consoleへの登録。 施策側ではなく計測側ですが、最初にやる価値があります。Googleで所有権の確認をしてから、サイトマップのセクションに sitemap.xml と入力して送信します。登録した翌日から何かが変わるものではなく、Googleがクロールするまでの時間も保証されていません。それでも、「どんな検索語で自分の店が表示されているか」を見られる唯一の無料データ源なので、早く始めるほど後の判断材料が貯まります。
表示速度とコンテンツはどこまでやるか
残る2つのテーマ、表示速度とコンテンツは「やった方がいいが、上の3つより後でいい」枠です。
表示速度は、遅くなる原因のほとんどが後から入れたアプリと、テーマに貼った大きすぎる画像です。まずは使っていないアプリを削除する、バナーや背景に使う画像を圧縮してからアップロードする、という実害ベースの手当てで十分です。PageSpeed Insightsのスコアを上げること自体を目的にすると際限がなく、テーマの改造に踏み込むと壊すリスクの方が大きくなります。極端に遅いサイトが不利になることはあっても、速度だけで順位が上がるわけではありません。
コンテンツは、商品数が少ない小規模ストアが検索の間口を広げる現実的な手段です。ただし「週1本書く」のような量のノルマを課すと、続かないうえに薄い記事が溜まります。書くべきなのは、自分の商品ジャンルでお客様から実際に受けた質問への回答です。サイズ選び、素材の手入れ、用途ごとの選び方。1本の記事が1つの質問にきちんと答えていれば、本数は少なくて構いません。
日本語ECのSEOで持つべき期待値
最後に、この記事でいちばん正直に書いておきたい部分です。
日本語のEC関連キーワードは英語圏に比べて検索ボリュームが小さいものが多く、数少ないビッグワードは大手モールと大手メディアが占めています。小規模ストアの主戦場はそこではありません。取れるのは、ブランド名や店名で検索してくれる指名検索と、「商品ジャンル×具体的な悩み」のようなロングテールの2つです。
指名検索の源泉はSNSや実店舗など、検索の外での活動です。SEO側の仕事は受け皿を整えること、つまり店名で検索されたときに自サイトが最上位に出て、タイトルとdescriptionが店の説明として機能している状態を作ることです。ロングテールは前の節のコンテンツで拾います。どちらも、この記事の施策と矛盾しません。
期間の感覚も書いておきます。SEOは施策から結果まで数か月単位のずれがあり、「今月の売上を作る施策」にはなりません。広告やSNSと並行して走らせる、「来期以降の集客コストを下げる仕込み」として扱うのが実態に合っています。
まとめ
- サイトマップ・canonical・robots.txt・SSLはShopifyが自動でやる。触らなくていい
- 自分でやるのは、タイトルとdescription、コレクション構造とパンくず、Search Console登録の3つ。どれも無料
- 表示速度とコンテンツはその後。速度はスコアではなく実害ベースで手当てする
- 日本語ECの主戦場は指名検索とロングテール。数か月単位の仕込みとして、広告やSNSと並行して育てる