新作の発売を「ドロップ」として売る店では、発売の瞬間に売上が集中します。裏を返せば、その瞬間までに準備が終わっていなかった項目は、そのまま取り逃しになります。
先に結論を書きます。ドロップの段取りは発売時刻から逆算して3つの締切に分けると崩れません。
- 発売2週間前 — 商品データと発売日時を確定する(告知を始められる状態にする)
- 発売前日 — 販売開始の仕込みと表示の確認を終える(当日の作業をゼロにする)
- 発売直後 — 見るべき数字と、想定外への対応だけを残す
この記事は、その3つの締切に何を入れるかのチェックリストです。
発売2週間前: 商品ページを先に公開できる状態にする
ドロップで最初に決めるのは商品ではなく発売日時です。日時が決まっていないと告知が組めず、告知が組めないと発売日に人が集まりません。
この時点で終わらせておく項目は次のとおりです。
- 発売日と発売時刻を確定する — 「◯月◯日発売」まででは足りません。時刻まで決めます
- 商品データを入れ切る — 商品名、価格、サイズ展開、素材、採寸、画像。発売後に直すつもりで置いた項目は、たいてい当日まで残ります
- 商品ページを公開する — ドロップの告知に使うURLは、この商品ページです
- コレクションを作る — 「26AW 新作」のようなドロップ単位のコレクションを作ると、以降の設定と告知の両方が楽になります
3つ目でつまずくのがShopifyの標準機能です。商品を非公開にしておくと発売前にURLを告知できず、公開すると発売前に買えてしまいます。この矛盾の詳しい整理と解き方はShopifyで販売開始時間を指定する方法に書きました。要点は「ページは見せる、購入は止める、時刻で自動解放」の状態を作ることです。
発売時刻の決め方
時刻は集客経路から決めます。SNSからの流入が主なら、投稿が読まれる時間帯に合わせます。深夜0時は「日付が変わった瞬間」の分かりやすさがある一方、翌朝までのCS対応ができません。朝10時や20時のような、担当者が動ける時間帯を選ぶ選択肢も先に検討してください。
COMING SOON SETTING を使う場合、販売開始時刻は30分刻みのリストから選びます。日時はストアのタイムゾーン(日本のストアなら Asia/Tokyo)で解釈されるので、UTCへの換算は不要です。
発売前日: 当日の作業をゼロにする
前日にやることは、仕込みと確認です。当日に操作が必要な状態のまま迎えないことが、この工程の目的です。
- 発売日時をアプリに設定する — コレクション単位でまとめて設定できるので、ドロップのコレクションごと予約します
- カウントダウンの文言を保存する — 初期値のままでも一度保存が必要です。ここを飛ばすとストアフロントに文言が出ません
- 発売前の商品ページを実機で見る — 購入ボタンが無効になっているか、カウントダウンが出ているかを、PCとスマートフォンの両方で確認します。テーマの構造によっては購入ボタンを隠しきれないことがあるため、目で見る確認は省略できません
- 在庫を確定する — 取り置き分や店舗在庫を差し引いた数量を入れます。発売後の数量変更はトラブルの種です
- 告知の予約を入れる — メール・LINE・SNSの配信を予約します。発売直前にもう一本入れると、ページを見て待っていたお客様への最後のひと押しになります
- 決済と配送の設定を確認する — 高単価商品を出すなら代引きの上限、限定品なら送料設定の確認まで含めます
在庫が少ないドロップでは、同時アクセスで売り切れた後の見え方も前日に決めておいてください。売り切れ表示のまま公開しておくと、買えなかったお客様の意思をお気に入りで拾えます(Shopifyの再入荷通知と再入荷判断。お気に入りを受け皿にする方法)。
発売当日: 見る数字を決めておく
自動で販売が始まる状態を作ってあれば、当日の作業は監視と例外対応だけです。
- 発売時刻の直後に商品ページを1回開く — 通常の購入ボタンに戻っているかを確認します
- 注文が入り始めることを確認する — 数分入らない場合、購入ボタンやカート、決済のどこかで止まっている可能性があります
- 問い合わせの初動を決めておく — 「買えなかった」「サイズを間違えた」は必ず来ます。返信の型を前日までに用意しておくと、当日に文章を考えずに済みます
発売の瞬間に人が張り付かなくてよくなることが、この段取りの一番の価値です。深夜発売でも当日は誰も操作しない前提でスケジュールを組めます。
発売後: 次のドロップのために記録する
ドロップは繰り返すものなので、記録が次の精度になります。1回ごとに残しておく数字は3つで足ります。
- 発売から売り切れまでの時間(またはドロップ当日の消化率)— 生産数の判断に直結します
- サイズ・カラー別の消化の偏り — 次回の展開数の材料です
- 買えなかった需要の痕跡 — 売り切れ後のアクセス、お気に入りの追加、問い合わせの件数
この3つを毎回同じ形式で残しておくと、「売れた・売れなかった」の感想ではなく数字でドロップを設計できるようになります。
まとめ
- ドロップの段取りは発売時刻からの逆算。2週間前・前日・当日の3つの締切に分ける
- 2週間前に商品ページを公開できる状態にする。告知に使うURLは商品ページ
- 前日に仕込みと実機確認を終える。当日に操作が残っている状態で迎えない
- 当日は監視と例外対応だけ。売り切れ後の見え方も先に決めておく
- 終わったら3つの数字を残す。次のドロップの生産数と展開数がそこから決まる